防犯カメラはプライバシー的に合法?Sub Page
近年、オフィス内に防犯カメラを設置する会社が増えてきました。第三者がオフィスに不法侵入するのを防ぐため、社員の勤務態度を改善するためなど。今まさに「わが社も設置するべき?」と、検討している会社も多いことと思います。
しかし、会社に防犯カメラを設置するのなら1つだけ注意しておくべきことが。社員の”プライバシー”をどう確保するかは、防犯カメラを設置する会社側が配慮しておくべきこと。場合によっては、プライバシー侵害として訴えられることもあります。
今回は会社に防犯カメラを設置するのは合法なのか、プライバシー侵害にならないためのポイントをご紹介しましょう。
1.会社に防犯カメラを設置するのは合法?
駅や商業施設、銀行やコンビニなど、公共の場でかならず目にする”防犯カメラ”。”防犯のため”として当たり前となった設備ですが、会社に防犯カメラを設置するのは合法なのでしょうか?プライバシー侵害にあたらないのか心配です。
防犯カメラの設置に違法性はない
結論から申し上げると、会社に防犯カメラを設置するのは基本的に違法性はありません。事実、会社(企業)のオフィス、店舗や工場内には監視カメラが設置されています。コールセンターなどでは通話記録までしているところもあるほど。
もし、防犯カメラの設置が違法なのであれば、上記のような会社はすべて摘発されるはず。2012年5月、東京地裁によると「防犯カメラの設置はセキュリティ対策のため」と、つまりは防犯やサービス向上のために必要なものとしています。
録画された映像は”個人情報”に
ただし、防犯カメラを設置するのは”基本的”に違法性がないだけです。というのも、防犯カメラに記録された個人の特定できる映像はすべて”個人情報”にあたります。適切に管理しておかないと、”プライバシー侵害”にあたる可能性が。
だからと、個人の特定できない映像、不鮮明な映像では防犯という意味が薄れてしまいます。オフィスに防犯カメラを設置するのであればつねに”個人情報”を、個人のプライバシーに関わるものを扱っているという意識がとても大切です。
映像データの閲覧には制限を
会社に防犯カメラを設置するのなら、”映像データの管理”を徹底する必要があります。適切に管理していないと、映像データそのものが流出してしまう危険性も。防犯カメラの映像データの管理としては、以下のような2つのポイントが。
- 1.映像データの閲覧権限に制限をかける
- 2.保存媒体自体にもセキュリティ対策をする
そもそも防犯カメラの映像が、誰でも閲覧できる状態というのはとても危険です。データが流出する可能性だけでなく、証拠物品を故意に消去されてしまうリスクも。証拠保全の観点からも、映像データの管理には十分に注意しましょう。
2.プライバシー侵害にならないためのポイント
管理体制によっては”プライバシー侵害”として訴えられる可能性もある防犯カメラ。会社に設置しようにも、まずは管理体制をしっかり整えてからでないと危険です。では、プライバシー侵害で訴えられないためのポイントをご紹介しましょう。
設置の理由を告知する
まず、防犯カメラを設置する理由を社員に告知しましょう。
突然、オフィス内に防犯カメラが設置されたとして、大抵の社員は「なぜ?」と困惑してしまいます。社員によっては「監視されているのでは?」と不安に。感情的になって「プライバシー侵害だ!」と会社を相手に訴訟を起こしてしまうことも。
会社と社員で悲しいすれ違いが起こらないためにも、理由の告知は必須です。例えば、「泥棒対策のために」とぼんやりしたものでも。「社員の業務態度改善のため」とあえてはっきりするのでも、伝えておかないよりかは受け入れられます。
管理責任者を配置する
次に、防犯カメラを設置するにあたって”管理責任者”を配置します。
先述した通り、防犯カメラで撮影された映像データは”個人情報”にあたることがほとんどです。もし、社員全員が確認できる、操作できる状態だとそれこそ悪用される危険性も。SNSや動画サイトに映像データが流出するかもしれません。
管理責任者を配置することで管理を1箇所に集約でき、他の社員が不用意に触れることがなくなります。また、管理責任者を明示することで、責任の所在がはっきりして社員側も安心に。不必要なトラブルが起こるのを回避できます。
社内規定を策定する
最後に、防犯カメラを設置する前に”社内規定”を策定しておきます。
社内規定とは会社側が社員側に対して、”守るべきルール”を明文化したもの。会社(企業)であれば必ず策定している社内規定ですが、1度策定したら終わりではありません。オフィス環境の変化に合わせてつねに見直す必要が。
オフィス内に防犯カメラを、新しい設備を導入するのは社内規定を見直すいい機会です。会社として防犯カメラをどう運用していくのか、万が一が発生したときに映像データをどう活用するのかなど、社内規定に明記しておくといいでしょう。
3.まとめ
今回は、会社に防犯カメラを設置するのは合法なのか、”プライバシー侵害”にあたらないのかなどをまとめてみました。結論を申し上げると、会社に防犯カメラを設置するのはあくまで”基本的”ですが、違法性はないと言えます。
しかし、防犯カメラで撮影された映像データ、個人を特定できるものはすべて”個人情報”にあたります。万が一、映像データが外部に流出したり、不適切に取り扱われると”プライバシー侵害”として社員側から訴えられる可能性が。
会社に防犯カメラを設置するのなら、ぜひ紹介した注意点を参考にし、トラブルの起こらないよう配慮が大切です。